【劇場】ランド・オブ・プレンティ [観る(映画2005)]
「パリ、テキサス」(最高に好きです)で荒涼としたアメリカの原
風景を描いたヴィム・ヴェンダースが、9.11を経てあらためてアメ
リカへの思いを作品に込めます。
テロからアメリカを守ろうと、疑惑妄想で頭をいっぱいにしている
ポールは、洗剤のダンボールを化学兵器の材料と、立ち話は悪事の
企みと、思い込みます。その姿は強烈に滑稽ですが、ベトナム戦争
のトラウマと思うと痛々しい。
まるで現在のアメリカを思わせるポールの姿ですが、ヴェンダース
はそれを非難するだけでなく、その思い込みが間違いであったとポー
ルに気づかせます。
「豊かな国」アメリカの暗部を見せながらも、その眼差しは優しい。
「パリ、テキサス」と同じ作りであったような気もしますが、憧れ
だけでは語れなくなったヴェンダースのアメリカへの強いメッセー
ジに、私はうたれたりしたのです。(2005/11/27@京都シネマ)
いい映画でした。
観終わった後に余韻が残り、考えさせられる作品だと思います。
TBさせていただきました。
by 水無月 (2006-05-21 14:17)